○○フェチ

日常の中の非日常というものが非常に好きである。

例えばいつもと変わらない出勤の日。
今日もパリッとスーツを着て革靴を履いて会社へ向かう。
会社でもバリバリと仕事をこなす。もうバリバリって音がするぐらいこなす。
ニューヨークからかかってきた電話に対しても的確に答え、
そんな彼は職場の女性達の憧れの的。

雅彦クンは付き合っている子はいるのかな…
あんなにカッコいいんだからきっといるはずよね…
でもひょっとしたら…せめて1度くらいは一緒に食事でもしたい…
そんな視線を浴びながら家路につく雅彦。

でもそんな彼がケジラミであるが故、ノーパンで出勤していたら。
あるいは、家に着き「ふぅ」とため息をつきつつ、ごく自然にヅラを取ったら。
そんなことを想像してやまない。

そして今日のバイト先にもそんな日常の中に潜む
非日常のニオイがプンプンとしていたのである。

というか本気でクサかった。事実として。
賞味期限の切れた商品たちを廃棄してたら
何でかその辺りが妙に臭かった。
普通に何かが腐ってるようなニオイなら理解できるんですが、
何ていうか、その、アレのニオイがした。
あの白いやつ。ラーメンじゃなくてさ。気持ちよくなったら出たりするやつ。

いや紛れもなくそのニオイなんですわ。寸分違わず。
そん時捨ててたものと言えば、食パンだとか豆腐だとかジュースだとか。
あんな独特の生温かさを感じさせるニオイを出しそうな
ツワモノどもはそこにはいなかった。

思うにですね、どうやらあの職場にはとんでもないフェチがいるんじゃないかと。
それこそ豆腐フェチとか。大好きなアノ子を豆腐まみれにしてやりたい。
大好きなアノ子と一緒に豆腐に囲まれて暮らしたい。木綿の方がよりベター。

しかもその人はですね、熟女フェチですよ。
パートのおばちゃんとすれ違う度にもうドキドキ。
無造作に一つにくくった後ろ髪。隙間から覗くうなじ。
第二次反抗期を迎えた子供にどう接してよいか分からず
少し疲れた表情がまたアンニュイで艶っぽい。

ああもうその顔を豆腐まみれにしてやりたい。
親子ともども豆乳の中に入れて手の平の上で泳がせたい。無調整の方がよりベター。

そんなコトを妄想してる内に彼はきっと豆乳に勝るとも劣らない
ポテンシャルを秘めたあの白いのを出しちゃったんじゃないかと。
豆腐を握り締め、パートのおばちゃんを眺めながら昇天したんじゃないかと。

ニオイはすれども、その現物はないワケで
まああってもそれはそれでイヤなんですけど。
証拠はつかめないままなんですが、もうあのニオイだけは間違いない。

というワケで豆腐・熟女フェチは一体誰なのかを探りながら
これからのバイトライフを過ごしてみようと思います。
多分ホンマにおったらすぐ分かる。

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