花火

もう暑さも残暑といった趣を呈してきて
そこで敢えて季節外れな題目で書いてみたいと思いました。

皆さんは今年の夏、花火を見られましたか。
小さな彼女と一緒に人ごみのなかを押し合いへし合いしつつ、
大きな花火大会を見に行かれた方、
家族と庭先でささやかな線香花火を楽しんだ方、
両軍2チームに分かれて手持ちの20連発だとかロケット花火だとかを
打ち合いして直撃をくらった方など様々だと思います。

僕の地元でもちょっとした夏祭りがあり、
そこに一緒に言ってくれるような女の子でもいようものなら
そりゃもうウキウキウォッチングなんですがそんなこともなく、
プール開きの前日に膝小僧をすり向いてケガしてしまったため
皆がプールではしゃぎ回っている中プール開き早々から
プールサイドで見学してるような、そんな気分を味わうのも今年で何度目かなとか
もうすごい文を切らずに書いてるなとか何かもうよく分からんけども。

で、やっぱそれなりに大きな花火が上がるもんだから
家にいても音も聞こえるし、ベランダから見えたりするんですね。
しかもたまたまクルマで出ている時だったもんだから
ついでにちょっと見ていってやろうと思って
適当にいいところで車を停めてぼけーっと見ていたんです。

中々見晴らしのいい場所。まぁ田舎なもんで高い建物もないし、
田んぼ道に適当に停めてりゃ丸見えなんですが。
目の前の真っ暗なキャンバスに一気に咲く大輪の花。
それを見ながら中学生の頃を思い出しました。


僕は元々体がそこまで強くはなく、アレルギーなんかもあるので、
小学生の時も学校を休みがちでした。
中学に上がってもまだまだその傾向は続き、
ある部分では症状は酷くなっている部分もありました。
そんなとある夏の日、僕は熱を出しました。

確か40℃くらい出ていたと思う。かなりの高熱です。
38℃辺りならよく出ていたので家族も、ああまたかってなもんなのですが
40℃となるといよいよ大変だという雰囲気になってきます。
とりあえず熱を下げた方がいいということでバファリンが投薬されました。
熱に対して解熱剤。何も間違っていないこの行為が大変なことに発展するのでした。

先に述べたように僕は小さな頃からアレルギーで悩まされていました。
ただ食べ物というよりダニやらホコリに滅法弱いという体質で、
ホコリっぽい所で遊んだりするとすぐに体調を壊してしまうのでした。

と思っていたら衝撃の新事実。それ以上にバファリンに弱かったのです。
よく薬の用法のところにアレルギーの方は医師の指示に従って…なんていう文を
見かけると思うのですが、わざわざ風邪薬や正露丸ひとつ飲むのに
病院にまで行ってられません。
しかも小児用バファリンは前々から愛用していたので
まさか大人用バファリンに異常な反応を示すとは誰も夢にも思ってませんでした。

まず数時間しても熱は全然下がらない。
熱を出すとその弱った体を待ってました!とばかりにじんましんが出てくるのが
僕の体のパターンです。風邪でもじんましんが出て来たりする。
この時も例外なくじんましんが出てたんですが、
バファリンパワーでそのじんましんが異様に活性化しだしたんです。

じんましんってブツブツしたものだと思ってる方が多いかもですが、
もっと一つ一つがデカイんです。蚊に刺されたのなんかより全然デカイ。
というか最初小さくてどんどんデカくなっていくんですね。広がるというか。
最終的には体に世界地図を貼り付けたような感じになるんです。
そんで広がった分薄くなっていって消えていくんですが、
何かもう異常なほど腫れてきたんです。

顔に出てたやつがものすごく腫れてきて
分かりやすく言えばお岩さん状態。まぶたパンパン。
耳も柔道選手みたいにパンパン、くちびるもパンパン。
それいけパンパンマンってな勢いで顔面積が当社比1.5倍ぐらいになったんです。
もう誰かも分からなくて、いつもならじんましんを見て、

「わー、きもちわる」

って言うてた兄貴でさえ

「おおすげえ。誰?」

って言うぐらい。鏡見ても笑うしかなかった。
致命的に整形失敗っていう感じ。
というか整形してどうしたかってんってぐらい。
もちろん急遽病院に担ぎ込まれました。そんで初めて入院。

顔をパンパンに腫らしたブサイクは一週間ぐらい点滴打ってました。
その一週間の間に夏祭りの日が入っていました。
あ〜今年は皆と一緒に祭り行けないなぁ…
当時女の子とどうこうなんて全然考えていないような純粋な時代。
ただ友達と一緒に祭りに行って遊ぶ。それが楽しみでした。

その年、僕は祭りに行けませんでした。

楽しそうに遊びまわる友達の顔がいくつも何度も浮かびます。
外からはいよいよ祭りもクライマックスに入り、
花火のドン!ドン!という音が病室にも響いてきました。

あ〜あ、行きたかったなぁ…

しゅんとなっていた僕。
するとある看護婦さんが僕を病室から連れ出しました。
看護婦さんが案内してくれた空き病室の窓からは
窓枠いっぱいに広がる花火が見えました。

寂しさとか華やかさとか切なさとかワクワク感とか
全部ごちゃ混ぜにした気持ちで見た花火はきっとこれからも忘れられないと思う。
ちっちゃいことでウジウジ悩むな!って言ってるようにも見えたし、
無言でただ大きく包んでくれようとしているようにも見えたし、
とにかくあんなに圧倒された花火は初めてでした。

とか言いながら次の年も何かで入院してしまって
結局2度目の夏祭りin市民病院を経験してしまったんですが。

ちなみに後日談として、
顔の腫れが引いてから病院に診察してもらいに行くと
入院してた時に見てくれてた看護婦のオバチャンが

「あら、ホンマはそんな顔なんやね。結構オトコマエやない。」

と潤んだ瞳で言うてました。


絶好のポジションで見た今年の花火は
あの時の病院から見た花火と多分同じぐらいの大きさでした。
でもあの時の花火ほどの存在感はやっぱりなかったかな。
いつかあの時とはまた違った輝きでもって
忘れられない花火を見ることが出来たらなと思うのでした。

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